白表紙とは,司法研修所から送付される司法修習のための教科書です。
その中には事前課題もはいっているため,「研修所の白い悪魔」と言われているそうな。
もちろん,配布された白表紙に全て目を通し,修習の準備を万全にすることが大切です。
もっとも,ニュータイプではない一般の修習生にとっては就活やら家さがしやら遊びやら遊びやら遊びや(r
ということで,なかなか時間をとれないのも事実。
ということで,直近の先輩である66期の一意見として,
1.特に読んでおくといい白表紙
2.他の白表紙よりも読んでおいた方がいいのではないか?と思う市販の書籍
を紹介したいと思います。
1.特に読むべき白表紙
・民事事実認定のしおり(民事裁判・民事弁護で使用)
民事の事実認定はほとんどしたことがないはず。
以下で紹介するステップアップ民事事実認定と併読することで二段の推定や供述の信用性をはじめとする基本につき学ぶことができます。
*2013/10/20追記
67期から「事例で考える民事事実認定」に差し替えがあったようです。
早速67期の知人に見せてもらいました。
出版されれば購入します。多分。
イメージとしては、「しおり」をわかりやすくして、事例を加えた感じです。
冊子から製本されて小さくなり、持ち運びしやすくなっているのも好印象。
・検察終局処分起案の考え方(検察で使用)
検察の起案はとにかくお作法,「検察起案のハコ」が大事。
何をどこで書くか,という点をまず頭に叩き込むことで検察起案は乗り切れる!はず!!
・刑裁修習読本(刑裁で使用)
あの「サイ太」「ケイ子」が登場します。
それはともかく,刑事事実認定の考え方を学べます。
一読では難しいですが,一読し,刑裁修習を経て何回か読むことで本の良さが理解できるするめ本です。
・刑事弁護ノート(刑事弁護で使用,66期では後日配布)
刑事弁護起案の視点,「刑事弁護のハコ」を学べます。
なぜ後日配布なのかは,刑事弁護教官室がぎりぎりまで内容を詰めていたから,とのこと。
・刑裁導入起案のための事実認定ガイド。(ホチキス止めのプリント)
<民事・刑事一審解説や新問研は読んでいる前提です>
・余裕があれば,事実記載例と民事執行・保全,民事弁護における立証活動,刑事弁護実務などを拾い読みするとよいと思います。
2.他の白表紙よりも読んでおいた方がいいのではないか?と思う市販の書籍
今日はとりあえず書籍名だけ。
<アマゾンリンク追記しました。><簡単な書評追加しました。>
・ステップアップ民事事実認定
民事実認定はまずこれ!第1部だけでも修習前に読んでおくと、証拠の認定手順がよくわかります。
書証のところがもろに司法試験に出たこともあります。
・民事訴訟における事実認定
アマゾンリンクなし。法曹会の本です。
上記ステップアップと「しおり」(67期は「事例で考える民事事実認定」)を深めたい方向けでしょう。
・要件事実マニュアル
名著だと思います。
辞書的な使い方もできますし、頻出の類型は通読もお勧め。
・民事訴訟マニュアル
同じく。岡口さんはいつ執筆されているのでしょうか?
・要件事実問題集/要件事実30講(どちらかでいいでしょう)
要件事実の学習は、事実認定メインとなった修習でも前提として押さえておく必要があります。
民裁の教官は、「主張整理あってこその事実認定」と繰り返し指導してくれました。
・クロスレファレンス民事実務講義
記事をご参照あれ。http://siominn19851225.blogspot.jp/2013/10/blog-post_21.html
・若手弁護士のための民事裁判実務の留意点
記事をご参照あれ。http://siominn19851225.blogspot.jp/2013/10/blog-post_21.html
・刑事弁護ビギナーズ
刑事弁護の具体的手法を学びたいならこちら。
どう動くべきか、ビギナーズという書名ながら、これをすべてこなせば、決してビギナーはないと思います。
刑事弁護する際に1冊参考書籍を読むならまずこれ!!
・刑事事実認定入門
事実認定初歩の初歩。刑裁修習読本を読む前に読んでおけば、理解が深まるかも。
・刑事事実認定重要判決50選(上下)
最近改訂されました。
事実認定の要素を抽出するために使っています(旧版を)。
殺意・近接所持あたりは必読。司法試験受験対策にも、余裕があれば。
・リーガルクリニック・ハンドブック―法律相談効率化のための論点チェック―
実は修習に入って一番読んでいる本かもしれません。
机上の知識しか知らない司法試験合格者にとって、実務のノウハウを手っ取り早く教えてくれる本書のような本は貴重。
法律相談においては、この本を超えていくことを第一の目標に据えています。
・事例に学ぶ刑事弁護入門
刑事弁護ビギナーズのアップデート、というか更新されない部分の補強的意味合いで読むのにちょうどいい本。
・刑事弁護プラクティス
記事をご参照あれ。http://siominn19851225.blogspot.jp/2013/10/blog-post.html
・実例刑事訴訟法(Ⅰ~Ⅲ)
司法試験レベルは超えていると思います。
二回試験の小問対策に有用とか。
・条解刑法・刑事訴訟法・民事訴訟法
辞書です。
私は民事訴訟法は持っていないのですが、刑法、刑訴法はこれ以外見なくなりました。
・我妻・有泉コンメンタール民法
財産法に関して最初にあたるのはこれです。
修習生はコンメンタール好きになるという噂は本当ですw
・LPシリーズ
改訂待ちの本が多く、貼れませんでした。
裁判官が書いた本、ということで無条件で一定の信頼度があります。
・・・・・思うがままに上げてみましたが,まだまだあります。
実務に役立つであろう本と起案に役立つであろう本も混然一体になっていますし。
これどうだろう??と思う本があれば周りの弁護士さんか,先輩(もちろんブログでの質問もお待ちしています)を頼ればいいと思います。
話は変わりますが,僕は修習開始に当たり,「本代」と「交際費」だけは糸目を付けないようにしていました(限度はありますが
貸与制という借金まみれの中で,つらいとは思いますが,白表紙やこれらの本を上手く活用し,共によい実務家になりましょう!!!
・・・二回試験の勉強せな。
第67期司法修習生(予定)です。
返信削除ご質問させていただきたいことがあるのですが、刑事弁護プラクティスを今読んでいます。この本を読んでいて、弁護士が実際にどのように刑事弁護活動をなさっているのかを知ることができます。
そこで、ご質問させていただきたいのですが、このような感じの、民事弁護活動について記載されている本は何かご存じでしょうか。
よろしくお願いします。
第68期修習生(予定)です。
返信削除つい先日刑事弁護ビギナーズのver.2が発売されましたが、これによって事例に学ぶ刑事弁護入門の重要性は低下しましたでしょうか。
どの本を買おうか悩んでおりますので、ご教授いただければ幸いです。
ビギナーズ2版に目を通していないので推測ですが・・・
削除アップデートされた,ということで事例に~の重要性は相対的に低下したと思います。もっとも,具体的事例を通じての検討という特色がありますので,事例に~についても読んで損するというレベルではないと思います。